圧雪車“Leitwolf”におけるCANの利用

引用元: CANニュースレター(2007年2月)

オフハイウェイ車両のパワーや設計に求められる要件が複雑化し、搭載される電子 装置が大幅に増加するのに伴って、さまざまな技術的課題が生じています。電子制 御システムを導入することで、これまでと異なる方法でメカトロニクスソリューシ ョンを実装できるようになります。新しい機能はソフトウェアをアレンジするだけ で実現できます。これにより高い柔軟性と拡張性が確保され、将来必要になる要件 に合わせてシステムを調整することが可能になります。
オフハイウェイ車両は過酷な環境でも高い信頼性を維持しなければなりません。こ れは技術的に困難な課題です。TTControl-TTTech Off-Highway社とPrinoth AG by Leitner Snow社は協力して、Prinoth社の最上位機種であるLeitwolf(ドイツ語で 「群れのリーダー」またはアルファウルフの意)圧雪車にTTControl社の電子制御 システムを搭載しました。安全性と経済性を両立させるために、この圧雪車には高 度な制御システムが搭載されました。
Prinoth社のLeitwolfは最新のテクノロジを搭載した次世代型の圧雪車の先がけです。 電子制御のインジェクションシステムを搭載したディーゼルエンジンによって、燃 料消費と排出ガスが減少し、全体としての経済性が向上しています。キャタピラは スチールおよびアルミニウム製のスパイク付きベルトでできており、優れた登坂能 力と運転性能を実現しています8つのダンパーを備えたハイドロニューマチックサ スペンションは、運転性能や操作性を高めるのに役立っています。軽量の格子状パ イプにより、応力やひずみに対する高い剛性が確保されています。この車両には高 トルク出力と低燃費を兼ね備えたMAN 320-kWディーゼルエンジンが搭載されてい ます。また先進のハイドロニューマチックサスペンションによって振動が抑えられ、 運転時の快適性が向上しています。このような技術的な強化に加えて、同社の電子 制御システムは運転者のパフォーマンス、安全性、およびさらなる快適性の確保に も役立っています。
「当社の車両の優れた柔軟性は、TTControlの電子機器によってサポートされていま す。当社は電子制御を組み合わせることで、機械の機能を最適化することができま した。さらに、機械的ソリューションだけでは実現できなかった機能を実現するこ ともできました」と、Prinoth社の技術部長であるMartin Runggaldier氏は述べてい ます。この車両の先進の制御システムは、強力な計算機能を備えているため、すべ てのタスクに迅速に反応します。このシステムには3 つの電子制御ユニット、駆動 制御ユニット、ディスプレイ、2つのキーボード、およびジョイスティックが含ま れていますこの車両のジョイスティック手動操作制御装置には、前部のレーキブレ ードと後部のスノーティラーのすべての機能が統合されています。このジョイステ ィック制御装置では、関節式スノーティラーの始動、停止、上げ、下げの制御と、 後部スノーティラーの横移動や切削およびティラー角の調整を行います。また、水 平および垂直方向の浮動設定の監視や、前面ウインドシールドの稼働時間のチェッ クも行います。特別なトグルボタンを使用すると、重要な場面でウインチの最小出 力や最大出力を修正することができます。中央のカラーディスプレイにはすべての 計器が表示されます。このディスプレイには切り換えスイッチが付いています。主 要なコマンドはすべてキーボードで入力されます。人間工学に基づいたジョイスティックを使うと、ブレードの操作や運転を簡単に行うことができます。電子機器や コンピュータ診断機能は完全に冗長化されているため、高い安全性が確保されてい ます。

電子制御のイノベーション

ビジュアライゼーションユニットVision Plus では、カメラ表示の制御と機械パラメ ータの表示を行います。1つの液晶ディスプレイにカメラ表示システムと車載アプ リケーションを統合することは、生産コストの削減や操作の安全性向上につながり ます。また、ヒューマンマシンインターフェース(Human Machine Interface: HMI)も過酷な環境で使用する車両や機械における使用を考慮した設計になってお り、アルミ製のハウジングで保護されています。HMIはCANとTTP(Time- Triggered Protocol)の両方のネットワークに接続することができます。 3つのTTC10 コントローラ、1つのTTC20 コントローラ、1つのTTCVision、1つ のモータコントローラ、および1 つのCANジョイスティックが3 つのCANネット ワークで接続されます。CAN1は3つのTTC10とTTCVision を接続し、CAN2はTTC20とTTCVisionとジョイスティックを接続し、CAN3はTTC20とモーター制 御ユニットを接続します。TTC 20制御ユニットは駆動装置の制御を行います。TTC 20制御ユニットを使用すると、稼働状況に合わせてエンジン出力を容易に調整する ことができます。3 つのTTC 10制御ユニットは、後部のスノーティラー、前部のレ ーキブレード、および圧雪車全体のオンボード計測を管理します。 この製品ファミリのすべての制御ユニットは、オフハイウェイ車両の苛酷な環境で 使用できるように設計されています。これらの制御ユニットは-40 °C~+85 °Cとい う広い動作温度における稼働要件を満たしています。丈夫な射出成形アルミニウム ハウジングによって電磁妨害や機械的ストレスから保護されているため、キャビン の外に制御ボックスを取り付けることもできます。これらの製品はCANとTTPの 両方をサポートする商業生産に適した世界初のコントローラです。これらはスタン ドアロンソリューションやネットワーク型システムの一部として使用でき、安全性 が重視される用途に適しています。
この車両では従来型の機械ではなく組み込み型のエレクトロニクスを利用していま す。4 つの小型制御ユニットは運転席の後ろのボックスに収容されています。これ により、温度の変化や悪天候から制御ユニットを保護しています。また、運転者は 大きなウインドシールドを介して機械や周囲の状況をよく見ることができます。電 子制御ソリューションは、メカトロニクスソリューションの新たな実装方法を可能 にしています。新しい機能はソフトウェアをアレンジするだけで実現できます。こ れにより高度な柔軟性と拡張性が確保されます。たとえば、この車両の新しいけん 引力制御では、機械に変更を加えることなく、開発とテストが行われました。このようにして、悪雪状況における登坂機能を最適化することができました。今後別の 機能を統合する際には、ソフトウェアを変更するだけで済みます。