環境調査におけるCANopen の利用

マックスプランク研究所(Max-Planck-Institute: MPI)の科学者は、「生物多様性」プロジェクトを実施する際にデータの計測と収集という困難な作業に直面しました。生物多様性は植物と動物の複雑な相互依存関係で、生態系が正常に機能する上で重要なものです。この相互作用は予想不可能なパターンに従うため、単純な数学的計算で記述することはできません。一部の環境パラメータが変化すると、個体の地理的な分布が完全に変わってしまったり、1つの生態系内における種の構成が変化したりする場合があります。このような相互依存性はドイツのJenaにあるMPI forBiochemistryの科学者たちの研究対象です。科学者たちが抱える主要な疑問のひとつに、「植物の多様性は生態系の生産性に影響を与えるか」というものがあります。2003年の春に、科学者はJenaの近くにあるザーレ川渓谷でプロジェクトを開始しました。このプロジェクトの規模と期間はそれまで(過去10年間)のどのプロジェクトよりも大きなものでした。サッカー場13面分の土地の400を超える区画に草地を作り、495種類の異なる植物を植えつけました。この実験を行うには、環境の影響を測定したり制御したりするための数多くのセンサーとポンプが必要でした。測定範囲が非常に広いため、分散型の測定システムが選択されました。すべての通信はCANopenを介してやり取りされます。全長4,500mの4つの独立したCANネットワークに、合計220の地温センサー、110の土壌水電圧センサー、25の圧力センサー、22の温湿度センサー、および22の地面温度センサーが設置されました。さらに、土壌の水分量を制御するために25台のポンプが設置されました。測定および制御用のモジュールは、屋外の環境条件に適合し、長期間にわたる精度と安定性に関する高度な要件に対応したものでした。アナログ取得モジュールの4つの入力は、センサーのタイプに合わせてソフトウェアで設定できます。科学者たちはセンサーの技術データだけでなく、それらの信頼性を高く評価して、次のように述べています。「地面に雷が落ちてもシステムは停止しません。爆発的に増える測定データを見ると、地面が受けるエネルギーがいかに大きなものであるかがわかります」CANopenを使用することで、MPIは植物が成長する様子を把握することができます。

引用元: CANニュースレター(2005年3月)